動きの激しいデジタル・ミュージックのなか,iPodの登場は遅かったかもしれない。それも批判のひとつとなろう。でも,この現状のなかでも,iPodは,MP3・ニュー・ブリード(新しきMP3の申し子)の立場を築ける能力を持っている。
アップル社が発表したiPodは,かっこいいから誰でも欲しがるが,値段が高い。クリエイティブ・テクノロジー社のノマド・ジュークボックスは,同じ値段だがハードディスク容量は4倍もある。強みはその外観しかない。これではまるでキューブの二の舞いだ。
と,批判も耳に入れて…。iPod(過去記事)は確かにちょっと値段が高い。それは,安ければもちろんうれしいけど,いままでの安い機種と違う点をみなければのことだ。私は,USBは使っても,ファイヤーワイヤーポートを一度も使ったことがない(^_^;)。外付けよりは内蔵のハードディスクを選ぶし,DVカメラなどもまだ手が出ない。そんななのに,現在のマックには,最低ラインのiMacやiBookでもファイヤーワイヤーがついている。この誤差を埋めるような製品が欲しい。それはiPodかもしれない。iPodのプロダクト・コンセプトを考えると,iPodは,MP3プレイヤーではなく,iTunesプレイヤーだ。いや,iPodのために,iTunesはあったと云ってもいい。その同期性,密接な連携はこれまでのデバイスにない魅力だ。その2点で,ノマドとは根本的な発想が違うことがわかる。
そして過去記事でこのiPodはアップルのPDAも含めたデジタル・デバイスの先達になるとしたが,それは_すべての_デバイスのプロトタイプともなる。iPodで,やっとデジタル・デバイスは新世紀を得た,と云っていい。中途半端な機能しか感じられないデバイスは,もう要らないのだ。それは,今のパームなどのPDA不況が物語っている。十分な性能と,十分な同期などの連携。そのハードとソフトの両方があってこそ,プロトタイプ・デバイスは成り立つ。現状,iPod以外に,それはない。
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